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79話 最後の週末

Author: 八月 猫
last update publish date: 2026-08-07 09:01:25

 引っ越し前、最後の週末が来た。

 朝起きると、部屋の隅には段ボールが増えていた。

 本。

 食器。

 服。

 小物。

 黒い油性ペンで書いた文字が、少しずつ増えていく。

 まだ全部ではない。

 でも、私のものは少しずつ箱の中へ移っていた。

 クローゼットを開ける。

 仕事用の服。

 休日用の服。

 着なくなった服。

 どれを持っていくか、どれを処分するかを考える。

 昔、悠斗とよく出かけていた頃に着ていたワンピースが奥から出てきた。

 淡いベージュ。

 膝下の丈。

 数年前まではよく着ていた。

 最近は、ほとんど袖を通していない。

 私はハンガーにかかったそれを見つめた。

 嫌な思い出があるわけではない。

 むしろ、楽しい日の方が多かったと思う。

 でも、新しい部屋に持ってい

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  • 『尽くしすぎたのでやめました。今さら後悔しても遅いです』〜帰らない人を待つのは、もうやめます〜   第5話 知らない名前

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  • 『尽くしすぎたのでやめました。今さら後悔しても遅いです』〜帰らない人を待つのは、もうやめます〜   第4話 既読スルー

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  • 『尽くしすぎたのでやめました。今さら後悔しても遅いです』〜帰らない人を待つのは、もうやめます〜   第3話 母親みたい

     翌朝、目が覚めるとソファの上に毛布が落ちていた。 悠斗はベッドに戻ったらしい。 私はぼんやり天井を見上げたまま、小さく息を吐く。 身体が重い。 昨日はちゃんと寝たはずなのに、疲れが抜けていなかった。 時計を見る。 午前六時半。 あと三十分で悠斗を起こさないといけない。

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